管楽器のためのブレス徹底解説②準備編 【呼吸のための体の仕組みを知る】

呼吸
Yu-ki
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管楽器奏者にとって最重要ポイントでもある呼吸についてシリーズで解説しています!

第2弾は「呼吸に大切なからだの構造を知る」ことがテーマです。

前回の記事「管楽器のための呼吸の仕組み徹底解説①導入編」を読んでいない方は、こちらから先にご覧ください。

呼吸に関わる体の構造を知ることが大切

例えば鉛筆を持ったり歩いたりする時、私たちは脳からの指令によって体を動かしています。

呼吸もそのひとつです。

 脳が指令を出す場所を正しく理解する ことで、私たちはもっている力を最大限に発揮することができます。

このように、何が・どこに・どんな大きさ・どんな形で体の中に存在しているかを知って、  脳の中に「からだの地図」を作っていくことをボディマッピングといいます。 

ボディマッピングに関する記事はこちらから

呼吸を変えるために、まず第一段階として、 肺や肋骨(あばら骨)、呼吸の筋肉に関する知識が必要 だと考えています。

Yu-ki
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自分のからだの作りを知って演奏すると、格段に呼吸のコントロールがしやすくなりました。
今回の呼吸シリーズは指導者の方々も必見の内容です!

息はどこに入る?

さて、まずシンプルなところから考えていきます。

息はどこに入るでしょうか?

物理的に息は肺に入っていき、肺から出ていきますよね。

ただ、今までに「息はお腹に入る」「足先まで含めた全身に息を入れる」といわれた経験がある方もいるのではないでしょうか。

「お腹に息が入る」とは実際に起こっていることではなく、息を吸ったときに筋肉や内臓が動いていて、そのように 感じられる ということだと考えています。

ですので、少し言葉を工夫して「息をお腹の底まで吸うイメージで」であれば助けになることもあります。

本当にお腹に吸おうとすると、 体の機能的にはできないことをするため、どこかで無理がでてくる わけです。

では、「①肺に入る」の肺がどこにあるのかイラストで確認していきます。

肺と肋骨のボディマッピング【カラダの地図作り】をしよう

なんとなく肺はこのあたりかな、というイメージはきっとお持ちだと思います。

ただ、改めて聞いてみると意外といろんな答えが返ってきます。

Yu-ki
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以前、生徒さんの中には腎臓あたりを指差した方もいました。

知っているようで意外と位置も大きさも曖昧になっているかもしれません。

では具体的に肺はどこに位置していて、どんな大きさなのか、イメージ図で確認します。

肋骨に手をあててみましょう。肋骨とは、いわゆる【あばら骨】のことです。

手をあてて立体感を感じつつ、息を吸ったり吐いたりして動きを観察しながら読み進めてみてください。

【図1】正面から

【図2】背中側から(その1)

【図3】背中側から(その2)

肋骨の中に大切な心臓おさまっています。
肋骨が大切な臓器を守っているんですね。

【図4】横から

肋骨(背中側)と背骨で関節をつくっています。そのため、肋骨の後ろ側は結構ダイナミックに動ける構造になっています。

肺の位置と大きさのボディマッピング 3ステップ

肺の大きさや肋骨の動きを体感しながら、さらにマッピングを深めていきます。
 

ステップ1

鎖骨をさわってみます。肺の1番上はこのあたりまであります。

ステップ2

みぞおちのあたりから肋骨をたどっていってみます。

ステップ3

胸の前側に手のひらをあて、背中側に手の甲をあてて、挟みます。

胸部の厚みや立体感を感じてください。

胸部のいろんなところに手をあてながら、 鼻から息をゆっくり吸ったり吐いたりしつつ肋骨の動きを観察 してみます。

【観察ポイント】

肋骨がどんな方向に、どのように動いているか観察します。

  • ステップ3のように胸部を手で挟んだり…
  • 鎖骨のあたりをさわってみたり…
  • 下の写真のように肋骨のへりをさわってみたり…
 

胸郭をさわりながら息を吸ったり吐いたりします。

肋骨がとても立体的に動いていることがわかると思います。

Yu-ki
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管楽器の呼吸は、普段無意識にしている呼吸の延長線上にあるもので、普段の呼吸を観察することが大きなヒントとなります。

ところで、 肺は筋肉でできていない ため、自分で膨らんだりしぼんだりすることはできません。

肺に空気が入るには、肋骨を動かすためにいろんな筋肉たちが働きます。

周りの筋肉が働き、 肋骨が立体的に動くことで呼吸ができます。 

息を吸うときに必要となる筋肉はたくさんありますが、その代表選手が「横隔膜」です。

横隔膜ってどこだろう

管楽器の呼吸でよく話題になる横隔膜

管楽器のレッスンでもよく登場してきます。

横隔膜は、しゃっくりがでると痙攣するアレです。
焼肉でいう「ハラミ」は牛の横隔膜です。笑

そんな横隔膜、さっきさわった肋骨のへりのところについていて、肺と心臓がある胸郭とその下にある腹部の胃腸などの臓器と仕切っています。

   

ピンクが肺、水色になっているのが横隔膜です。

横隔膜はパラシュートのようなドーム状の立体的な形をしています。

横隔膜というとお腹のあたりをイメージされている方も多いのですが、実際はこの位置なので意外と上の方だなと感じる方が多いようです。

大事なおまけ【息の吸い始めでダイナミックに動く場所】

さて、今まで肋骨を中心とした胴体の動きの観察をしていただきました。

改めて、息の吸い始めの動きの観察をしてみてくださいね。

どのあたりが大きく動きましたか?

人によっても差がありますし、日によっても差があるものなので、ぜひまた違うタイミングでも試してみてください。

そんな違いがあることも念頭に起きつつ、今回は【浮遊肋骨】というものに着目してみたいと思います。

肋骨は右側・左側に12本ずつの計24本あります。

そのうちの上から10本ずつは背中側からぐるっと前側に回って胸の前側の骨とくっついています

図で見てもわかるように、 肋骨の下2本だけ短い ですね。浮遊肋骨といいます。

この短い肋骨たちがダイナミックな動きの鍵!

浮遊肋骨とは、図の中の一番下にある11本目、12本目の肋骨2本のことです。

11本目、12本目の浮遊肋骨たちは、前側の骨とくっついていません。ということはくっついている骨たちより、自由な構造ですね。

そのため、 非常にダイナミックに動ける構造となっている のです。

私の愛読書で、トランペット奏者 藤井 完 先生の著書、

【朝練 管楽器の呼吸法】呼吸法・喉とアンブシュアの関連性の中にも 呼吸筋の交差点 という表現で、この下部肋骨の動きを非常に重要だとされた記載があります。

いろんな筋肉が交差するポイントでもあり、浮遊肋骨があるこのポイントは、吸い始めで特に大きな動きが感じられる場所のひとつです。

先生によっては背中が動くと表現される方もいらっしゃいます。

背中であり、肋骨の一番下の部分でもあるんですね。

Yu-ki
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このあたりの動きが感じられると、さらに呼吸のポテンシャルが広がってくると思います。ぜひ観察して試してみてくださいね!

ブレス徹底解説②【準備編】まとめ

今回は、管楽器の呼吸を考える上で欠かせない体の構造についてみていきました。

この記事を読んでいただいたことで呼吸に関するボディマッピングが新しくなっています。

 知った瞬間から、すでにご自身の動きは変わってきています。 

まずは知るだけでいいんです。

さて、次はいよいよ息を吸う時にからだがどのように動いているかを解説していきます!

呼吸シリーズ

第1弾: 管楽器のためのブレス徹底解説①導入編【呼吸プチクイズ4選】

第2弾: 管楽器のためのブレス徹底解説②準備編【呼吸のための体の仕組みを知る】

第3弾: 管楽器のためのブレス徹底解説③知識編【息を吸う時に起きる動き】

第4弾: 管楽器のためのブレス徹底解説④知識編【息を吐く時に起きる動き】

第5弾: 管楽器のためのブレス徹底解説⑤知識編【脚が管楽器の演奏に深く関係するお話】

第6弾: 管楽器のためのブレス徹底解説⑥実践編【しなやかな呼吸のための脚と胴体の使い方】


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