管楽器のためのブレス徹底解説③知識編【息を吸う時に起きる動き】

呼吸

ブレス徹底解説 第3弾は【息を吸うときに起きる動き】についてです。

管楽器奏者にとって最重要ポイントでもある呼吸についてシリーズで掲載しています!
第3弾は「息を吸うときに起きる動き」について解説していきます。

以前の記事はこちらから

呼吸解説シリーズ

第1弾: 管楽器のためのブレス徹底解説①導入編【呼吸プチクイズ4選】

第2弾: 管楽器のためのブレス徹底解説②準備編【息を吸う体の仕組みをひも解く】

 

呼吸って・・・

 

呼吸に関して、こんなアドバイスをもらったことはありませんか?

  • 息をお腹にいれる
  • 息を吸うとお腹が膨らむ
  • 肩をあげない方がいい
  • 腹式呼吸で演奏するといい
  • お腹を張って吹く

 

こういったアドバイスを大事にして練習に取り組んでいる人も多いのではないでしょうか。

これらのアドバイスは、捉え方を間違えると残念ながらマイナスに働いてしまうこともあります。

実際に息を吸うときに、どういうことが起こっているのか理解をすることで、今より自由に呼吸がコントロールできるかもしれません。

 

体の構造からひもとく!息を吸うときに起きてほしい動き

 

 「息を吸う」とは、「肋骨がひろがることで肺が膨らんで空気が肺に入る」 ということを指します。

さらに、息を吸う時には 体のいろんな部分が連動してたくさんの動きが起きます。 

 

息を吸う、と一言でいっても、実はこんな動きが連動して起きています。

  • 胸のあたり(肋骨)が立体的に広がる
  • 横隔膜が下がる
  • 横隔膜が下がることで、その下にある内臓が下がる
  • 下がってきた内臓が骨盤の中におさまる
  • 骨盤の中におさまりきらない内臓はお腹側にでる

…などなど

これらの動きが絶妙に関連しあって起こります。

 

息を吸うための筋肉はこんなにたくさんある!

 

 息を吸うのに必要なのは胸がひろがること(肋骨がひろがる、肋骨が持ち上がる) ということです。

そのため、肋骨をひろげる筋肉に注目しながら考えていきます。

 

下の図で示している筋肉は、すべて肋骨がひろがっていくために必要な筋肉です。

 

 

思っていたよりもずっとたくさんの筋肉が関わっている感じがするかもしれません。

 

ちなみに、筋肉について細かく覚える必要はないと思っています。

ただ、上の図をみて 首にも背中にも腕にも、もちろん胸にも、呼吸に関わる筋肉がこんなにたくさんある ことをぜひ知っていてください。

息を吸うという動作は全身のたくさんの構造が協力しあって起きています。

  • 胸の前面
  • 背中側
  • 腕(肩)
  • 背骨  …

 

なんと!

一見関係なさそうな首や頭も肋骨につながっているので、呼吸に深く関係します。

そのため、例えば 首を固くする、頭を固める、肩をあげないように、といった動作も 「息を吸う」ときには邪魔になってしまう可能性があります。  

 

以前、ひどく緊張した本番で、本当に息が吸えなくなった経験をしました。

今振り返ってみると、極度の緊張のために首を固くしていたんだろうなと思います。

そして恐怖のあまりお腹がかたまっていた可能性も高いです。

 

人間は恐怖を感じた時、首を固くしたりお腹を固くして身を守ろうとする傾向があるようです。

当時はそのことを知りませんでした。

知っていたら、 固くしていることに気づいた時に自分の意思でやめることもできます。 

 

 

さらに言うと、背骨と脚(あし)は筋肉でつながっているため、脚まで呼吸に関係してきます。

 呼吸は全身が密接に関係しているんですね。 

 

息を吸うときに腹筋を使うとどんなことが起きるのか

 

ブレス徹底解説①導入編の後半でふれた、息を吸うときに腹筋を使うとどんなことが起きるのか

ここから考えていきたいと思います。

 

もう一度、息を吸うのに必要な構造をみていきます。

 

上の図の中には、肋骨と骨盤の間にある「腹筋」が描かれていません。

実は、肋骨を持ち上げるのに腹筋は使いません。

これは超重要ポイントです。

体の構造からひもといた時、 息を吸うために腹筋は使いません。 

第4弾で詳しく解説しますが、 腹筋は息を吐く時に使います。 

 

肋骨と骨盤の間にある腹筋を使ってしまうと、肋骨が動きにくくなってしまいます。

そのため、 息を吸うためにお腹側の筋肉は使わないで休ませてあげる。 その方が楽に息が吸えるという理解が助けになると思っています。

 お腹ゆるゆる!息を吸う! 

 

 息を吸うには肋骨を動かしたいので、肋骨がより動きやすい状況を作ってあげることが大切  だと感じています。

 

【まとめ】息を吸うには肋骨を動かそう

第2弾、第3弾では「息を吸う」ときの構造と動作について解説をしました。

 

ここまでの知識を踏まえて、再度実験してみてください。

実験してみよう

  1. 肺の大きさや立体感を思い出してみる
  2. 吸う時に肩や胸が動いても大丈夫!と思って吸ってみる
  3. 頭や首が楽になっているととっても効果的(アレクサンダー・テクニークの原理とも合致します!)
  4. 背中側も楽にしておきたいから、背筋(せすじ)ピンはやめてみる
  5. 吸う時にお腹は休ませておいてあげる

こんなことを思い出しながら、「肋骨動いていいよー」と思いつつ、

鼻からゆっくり吸ったり吐いたりして、肋骨の動きを十分に感じてみてください。

いつもの呼吸と比べていかがでしたか?

息が楽に吸えるなぁ、いつもより吸えるなぁ、と思っていただけたらとても嬉しいです。

 

さて、ここまでは息を吸う時の体の仕組み、息を吸う時に起きる動きについて整理をしました。

 

次回はいよいよ「息を吐く時に起きる動き」です。

 

ブレス徹底解説について疑問点があれば、お気軽にお問い合わせくださいね。

 

ご質問はこちらから

 

呼吸シリーズ

第1弾: 管楽器のためのブレス徹底解説①導入編【呼吸プチクイズ4選】

第2弾: 管楽器のためのブレス徹底解説②準備編【息を吸う体の仕組みをひも解く】

第3弾: 管楽器のためのブレス徹底解説③知識編【息を吸う時に起きる動き】

第4弾: 管楽器のためのブレス徹底解説④知識編【息を吐く時に起きる動き】(1月公開予定)

第5弾: 管楽器のためのブレス徹底解説⑤実践編【腹筋チョイスで多彩な音色】(2月公開予定)


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