もっと響きのある音にするための倍音のお話 vol.2【金管楽器の仕組みと前向きに上達するための道すじ】

コラム

ホルンをやっているんだけど、出したい音と違う音ばっかりでるよぅ…

ぼくはトランペットなんだけど、高い音をすぐはずしちゃうんだよね💦

前回に引き続き倍音の話です!
今回は特に金管の人向けに書きました。音があたらないよー!と悩んでいる人向けに私の失敗談と経験談からお伝えしていきます!

この記事を読んでわかること

この記事を読んでわかること
  • 金管楽器の倍音の仕組み
  • 金管楽器がコントロールして音をあてるために必要な具体的な練習の道すじ

金管楽器経験者であれば、感覚的にわかっている内容ですが、仕組みを理解して練習すると格段に前に進めるようになります!(体験談…)

倍音の仕組み【前回の振り返り】

前回の記事の振り返りです。

ある音を基準にして、音の波の数が倍になっていきます。

基準の音を「第1倍音」といい、その2倍、3倍、4倍…の波の数になっている音をそれぞれ第2倍音、第3倍音、第4倍音…というんでしたね。

金管楽器の仕組み

さて、この倍音の基礎知識を踏まえて、金管楽器の仕組みをみていきたいと思います。

金管楽器が楽器の特性上出せる1番低い音が第1倍音と呼ばれるものです。

例えばトランペットでは楽器の特性上、この音が第1倍音になります。

 ※これ以降の楽譜はin B♭です。

[注意]トランペットの場合は普通の楽譜では使わない音で、一般的な教則本の中にも載っていないような音ですが、物理的な楽器の特性上はこの音が最低音という意味で説明をしていきます。

先ほど、波の数が倍になるとオクターブあがるという話をしました。それを踏まえるとこんな感じですね。

  • ペダルトーンB♭・・・・・・・・・・基準の音・・・・・・第1倍音 
  • Low B♭・・・・・・・・・・・・・・1オクターブ上・・・第2倍音
  • Middle B♭(チューニングB♭)・・・2オクターブ上・・・第4倍音
  • High B♭・・・・・・・・・・・・・3オクターブ上・・・第8倍音

金管楽器が出せる音は倍音列そのもの

今回の記事はここからが本題なのですが、 金管が開放(どのピストンも押さない状態)で順番に音を出すと、倍音列の音がそのまま出る ということです。

*上の楽譜はトランペットの構造上すべて開放(0)で出すことができる音とされています(ただし、ペダル音域のB♭は開放で出せないと説明されている本もあります。どちらにしろ、この音域は非常に高度な技術が必要です)

倍音列をじっくり聴いて観察してみよう

音を聴いてみて、その並び方で何か気づくことはあるでしょうか?

再生するとトランペットの倍音列を聴くことができます!

よく聴いてみると、下の音の方が音の幅は広く、上にいくにつれて音の幅が狭くなっていくのがわかるでしょうか。何度か聞いてみてください。

例えば第2倍音と第3倍音の幅は五度なのに、第7倍音と第8倍音の幅は全音しかありません。

金管の高音域が外れやすい理由

上の説明でピンときた方もいるかと思いますが、高音域にいけばいくほど音の幅が近くなっていきます。楽器の性質上、高音にいけばいくほど出したい音を狙って出すのは難しくなっていきますね。

発想の転換 音を外した!から解放される

これは私の師匠であるバジル・クリッツァー先生にレッスンの中でもよく提案いただく方法で、非常に役に立ちます。私もこの方法で自分の【音をあてる感覚】を磨いています。

この方法を試して実践すると2つのいいことが起こり始めました。

  1. 狙った音をあてるトレーニングが通常の2,3倍のスピードで効率よく進む
  2. 狙った音がでなかった場合でも効果があるため、無駄にへこんでエネルギーを消費しなくなるし、前向きに取り組める⬅️これ、とてもとても大事

今、私が実践している音をあてる感覚のトレーニングを紹介しつつ、なぜこの2つのいいことが起きるかをお話ししますね。

  1. 何かひとつ出したい音を決める(長さ、大きさ、高さ)
  2. その音を出してみる
  3. 以下の道すじで取り組んでいく

よくやりがちな練習&思考から抜け出そう!

  1. 【前半】よくはまりがちな道すじ(行き止まり)
  2. 【後半】効率的に音をあてて感覚を磨き、前に進める道すじ(サイクル)

まずは、よくはまりがちな行き止まりの道すじから。

今までの方法(行き止まりで進めない)

  1. 出したい音を決める
  2. その音を吹いてみる
  3. 音がきれいにあたったかあたらないかで一喜一憂する

これに対し、前向きに進んで上達できる道すじはこんなルートです!

これからの方法(前向きに進んでいける!)

  1. 出したい音を決める(例えばDの音を出そう!と決める)
  2. その音を吹いてみる(Dの音を吹くのに必要なアンブシュア、息などで演奏する)
  3. きれいにDが当たった!【Dの音をあてるためのデータ集めができた!】
  4. もし、DではなくFがでた場合【Fの音をあてるためのデータ集めができた!】
  5. 次にDの音を吹くときには、さっきより低い音が出るような息やアンブシュアに調整して吹いてみようと決めて実践する【新しい実験のフェーズ】
  6. もし、DではなくB♭がでた場合【B♭の音をあてるためのデータ集めができた!】
  7. 次にDの音を吹くときには、さっきより高い音が出るような息やアンブシュアに調整して吹いてみようと決めて実践する【新しい実験のフェーズ】
  8. 新しい方法でもう一度実験してみよう!

【今までの方法】と【建設的なプロセス】を比べると、圧倒的に集まるデータ量が違うのがわかるでしょうか。

さらに音の響きを磨く練習も可能!

吹いてみよう!と決めて出た音(この例だとB♭、D、Fなど)をそのまま響かせて伸ばす!という練習も取り入れてみると効果的です。

「外した…!」と思うととっさに口で操作をしたり、余分なところに力みがでて、せっかくあった音の響きがなくなってしまうことが多いかと思います。

これを、当たった音を響かせよう!という練習をするということです。

楽器を響かせるという練習+音をあてる感覚を磨く練習(建設的なプロセス)の組み合わせでグンと進めるようになります。

建設的なプロセスの実践で、健康的に効率的に上達できます!

自分が出したかった音があたってもあたらなくてもそれらは全部を使ってデータ集めができて、次につなげていくことができます。

今までの方法だと常に⭕️か❌かで行き止まり

建設的なプロセスに変えていけば、楽しく試してみながら音をあてる感覚を磨いていくことができると思っています。


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