「音を出す直前、どんなことを考えていましたか?」
「次は音あたるかなぁとか、不安な気持ちとか…」
こんにちは!加藤有希です。
これらは、以前のクラリネット奏者の方とのレッスンでの会話です。
目次
まだ起こっていない【未来に対する不安の気持ち】
未来に対する不安な気持ちが湧き起こり始めると、途端に膨大なエネルギーが不安へと流れ始める感じがします。
人間が使えるエネルギーは有限で、いつもそのエネルギーをどう使うかを選択し続けています。意識的か無意識的かどうかに関わらずです。
無意識に近い部分の選択としてやっていることが、習慣的に一瞬で浮かんでくる感情や思考です。
音を出そうとすると思わず浮かんでくる思考
- 変な音が出たらどうしよう… 【不安】
- 次こそ当たるのかな… 【疑念】
- 音を外して周りの人に迷惑をかけたらどうしよう【恐怖】
- 自分なんかができるはずがない…【諦め】
次から次へと湧き出るように浮かんでくることもありますよね。
まるで高精度な自己否定製造マシーンのよう…(笑)
そしてたいていの場合、あまりにもいつも起きることなので、スルーしてしまう感情だったりもするように思います。
これをスルーし続けると、さらに強固な習慣になっていきます。
この状態がもっと当たり前になっていくような感じでしょうか。
スルーしがちなその気持ちを口に出してみる
その流してしまいがちなその不安や恐怖の感情を、一旦口に出してみます。
実は、そのほとんどがまだ実際には起こっていない【妄想】です。
その妄想を頭の中で盛大に繰り広げていってしまっていて疲弊します。
でもよく考えてみると、実際にはまだ何も起こっていません。
口に出してみたら、
「それはもう起こっているのか?」
「本当にそうなのか?」と自分に問いかけてみます。
そして【妄想】は口に出すと消えていきます。
これは私のメンターのひとりでもある心理カウンセラーの先生からもよく言われることです。
- 不安が出てきたら口に出してみる。
- 口に出すと、妄想は消えますよ。
不安が消えていくのは、自分はこう思っているんだな、と客観視することができるからです。
【メタ認知】ともいいます。
新しい習慣作りのためのステップ
湧き起こったモヤモヤに気づく
自己否定の習慣的な感情に気がつくことができたら、その感情をきっかけにして新しいことにもチャレンジしていけるようになります。
アレクサンダー・テクニークが楽器演奏をはじめとする自分自身の助けになってくれる理由のひとつです。
- 次はどんな音が出るかわからないけれど、とりあえず試してみよう!
- どんな音が出てもいいからチャレンジしてみよう!
次の音がどうなるかをどれだけ必死に予測しても、自分も周りの人も正しい予測をすることはできません。
誰も、次の音がうまくいくかどうかなんて言い当てられない。言い当てるって予言のようなものですね(笑)
- さっきうまくいかなかったから、次もうまくいかない気がする
- ゲネプロでうまくいかなかったから、本番もうまくいかない気がする
こういうことを考えてしまったり、実際にそういうことを口にする人もいますよね。
でも、本当にそうでしょうか?
必ず関連性があるものでしょうか?
そうやって不安になってしまうことは誰しもありますが、一旦立ち止まって考えてみると本当は全然関連性のないものだとわかりますよね。
不確実なゆらぎからこそ生まれるもの
本当は、生の音楽はそんな不確実性の中でこそ新しく生まれてきてくれるのかもしれない。
だからこそライブの良さやその空間だけの響きの心地よさがあって、それがかけがえのないものだなと思ったりします。
それに気づけたら未来の不安や恐怖の予測を、
【不確実なちょっとしたワクワク】へと変えてしまう。
次はどんな音が出るかわからないけど、やってみようかな!というワクワクです。
安心して挑戦できる場を自分でつくる
そういうチャレンジする時に大事なのは、自分にとって安心だ、安全だと感じられる場作りです。
- まずは自分自身が、「次はどんな音が出てもOK!」と自分に許してあげること
その上で、
- 気心知れた人だけに聴いていてもらうのもOK
- まずは自分だけの空間をつくり上げてもOK
レッスンの場でも、安心して挑戦できる場作りを1番大事にしています。
技術的な試行をしてみる
その上で新しい挑戦として、例えばこんなことをしてみます。
- この音は、さっきの3割増しで息を使ってみよう!
- アンブシュアをこうしてみよう!
- 腕の使い方を変えてみよう!
自分がより出したい音に近づくような技術的な工夫を試行錯誤していきます。
そのプロセスの中で、いつもとは違った新しい音に出会えたりします。
先日のクラリネット奏者の方のレッスンでは、音を出す直前にその方の中で起こっている否定的な感情に気づいたようでした。
その気持ちとも丁寧に向き合いつつ、徐々に自分が出したい音を出すためのテクニック的な部分へと目を向けて実践。息の向きを変えてみたり、音が響くポイントを見つけるうちに、不安な気持ちが興味やワクワクに変化していくように感じました。
試行錯誤を繰り返すうちに、いつもより音が響いて気持ちよく吹けた!という瞬間が!
そんな音との出会いの中で、小さな試行錯誤から大きなチャレンジを積み重ねて、新しい習慣ができていくんだなと改めて感じた瞬間でした。
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