「支え」と「力を入れる」の違いとは?息の支えを実践する3ステップ

呼吸

支えのある音を出したい!でもうまくいかない…

演奏時、特に管楽器や歌唱では「支えのある音を出す」というのは大切な技術です。
でも、管楽器や歌にとっての「支え」とは何か、曖昧な方も多いのではないでしょうか。

管楽器や歌のレッスンで、こんなことを言われることはありませんか?

  • 「支えが足りないから、もっと支えて!」
  • 「お腹の力をもっと使って支えて!」
  • 「お腹にちゃんと力入ってる?もっと支えて!」

こんな風にアドバイスをもらっても、ただ力を入れるだけではうまくいかないことが非常に多いのです。

この記事を読んでいただくと「息の支え」の理解を深めることができ、それを実現するための具体的な動作を学んでいけます。息が続かない、足りない、と悩んでいる方、ぜひ試してみてくださいね。

 

「支え」と「力を入れる」の違いって?

「支え」と「力を入れる」には、大きな違いがあります。

「支え」とは、何かを動かさないように、または倒れないようにする時に使う言葉ですね。それを踏まえて、日常生活で「支え」を考えると、こんな場面があります。

支えの例

  1. 倒れそうな友人を支える
    ➡︎ 体を支えて倒れないようにする役割をしています。
  2. 大きな屋根を支える土台を作る
    ➡︎ しっかりした土台を作ることで、屋根を安定して支えられる役割をもちます。

いずれも、「支える」ことで不安定なものを安定させているわけです。

では、管楽器や歌で「支える」とは具体的にどういうことなのでしょうか?

支えとは

「支え」とは、一言でいうと【バランス】です。音を安定させるために呼吸筋や体幹のバランスをとって調整することが大事です。

管楽器を吹く際や歌う時、音を持続させるためには息の圧力を一定に保ったり、体の筋肉を使って息の流れをコントロールする必要があります。

これは単に息を強く吹き出すのではなく、体全体の支えのバランスを利用して安定した音を作り出すことです。

支えがうまく働くと、音色が均一で、長く持続する安定した演奏が可能になります。

どれか1点の力で成り立つものではなく、多くの筋肉のバランスや拮抗によって支えを作ることができます。

左右に引っ張りあうことでバランスがとれています。全身の筋肉はこのように協力しあって働いているのです!

力を入れるとは

「力を入れる」というのは、特定の筋肉に意識的に力を加えることです。

例えば、単に腹筋に力を入れることです。
しかし、実際にはお腹に力を入れることだけでは息を吐くことはできません。

息を吐くために腹筋を使うことと、ただ単に腹筋に力を入れることは大きな違いがあるにも関わらず、誤解されやすい話題でもあります。

ただ単に力を込めて拳をギュッとにぎっている様子。

管楽器や歌唱における「息の支え」とは

管楽器や歌唱で「息の支え」とは、音を安定させるために息を一定に保つことです。

これは、息を強く吹き出すだけでなく、体内の筋肉を適切に使って息の力を調整することが大事になります。

息の支え

では、息の支えはいつ必要になるのでしょうか。

私は、息を吐くときに息の支えが必要になると考えています。

管楽器を吹いたり、歌ったりする時に、息が安定して出るようにするために必要な動作です。

もし息を吐くときに支えがないと、息が一気に出てしまったり、どうやって息の量を調節すればいいかわからなくなってしまいます。そうすると、音が不安定になったり、長く続けるのが難しくなります。

息の支えを作るためには、息を吸うときに使う筋肉(横隔膜や肋骨の間にある筋肉など)と、息を吐くときに使う筋肉がバランスをとってくれることが大切です。この2つの筋肉がバランスよく働くと、息を吐いていく時の量やスピード感をコントロールしやすくなり、音の安定感につながります。

また、ロングトーンのように長く息を吐きたいときにも不可欠の動作です。

ここまで頭で理解したことを実際に試して実践していきましょう。

 

息の支えの実践 3ステップ

ステップ1.吸う動作を観察する

  1. 息を吸う
    鼻または口から、ゆっくりと気持ちよく息を吸います。
  2. 体の動きを観察する
    息を吸ったときに、体がどう変わるかをよく見てみましょう。多くの人は、胸やお腹が膨らんだり、体が大きくなるのを感じることができます。

ステップ2.吸う筋肉のウォーミングアップ

  1. 息を吐いてから、息を吸う
    一度息を全部吐き出してから、再び気持ちよく息を吸います。
  2. 体を膨らませたままにする
    息を吸った後、口を開けたまま、体が膨らんだままにしてみましょう。
  3. 息が出ないように支える
    体が膨らんだ状態で、息が出ていかないようにしてみてください。このとき、体のどこが働いている感じがするかを探してみましょう。胸やお腹、背中など、感じる場所は人それぞれです。息が出ていかないように働いてくれた場所が、「息の支え」に必要なものです。胴体全体で息が漏れないように支えてみましょう。

ワンポイント💡
 口を閉じていると勝手に息が出ていくことはありませんが、何もせずに口を開けると勝手に息が出ていってしまいます。
 息を支えには、吸う筋肉をの働きをいかすことが実は大切です。

ステップ3.支えながら息を吐くトレーニング

  1. 息を吐いてから、息を吸う
    一度息を全部吐き出してから、再び気持ちよく息を吸います。
  2. ゆっくりと息を吐く
    ステップ2で感じた吸う筋肉を使いながら、ゆっくりと長く息を吐きましょう。

ワンポイント💡
 息を吸ったときに体が膨らんだ感覚を思い出し、その膨らんだ体を保ちながら、
 ゆっくり息を吐いていくことを意識してください。

このトレーニングを実践することで、息を安定して支える感覚がつかめるようになりますよ!

息が続かない、足りない、と悩んでいる方、ぜひ試してみてくださいね。

 

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ブレス徹底解説シリーズ

第1弾: 管楽器のためのブレス徹底解説①導入編【呼吸プチクイズ4選】

第2弾: 管楽器のためのブレス徹底解説②準備編【息を吸う体の仕組みをひも解く】

第3弾: 管楽器のためのブレス徹底解説③知識編【息を吸う時に起きる動き】

第4弾: 管楽器のためのブレス徹底解説④実践編【息を吐く時に起きる動き】

第5弾: 管楽器のためのブレス徹底解説⑤知識編【脚が管楽器の演奏に深く関係するお話】

第6弾: 管楽器のためのブレス徹底解説⑥実践編【しなやかな呼吸のための脚と胴体の使い方】