20年越しの再挑戦。大曲に向き合った1年間

あがり症・緊張

 

こんにちは。加藤有希です!

1ヶ月以上たってしまいましたが、2025年3月16日、私にとって大きな本番(マーラー交響曲第6番悲劇的)を終えました。

本番がどうだったか、なかなか言葉にできずにいたのですが、少しずつ整理できてきたので、今日はあらためてブログに書き記していきたいと思います。

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本番のリアル体験記

今回の本番は、私にとって本当に特別なものでした。

20年前に本番で大きく失敗し、絶望感だけを感じながら過ごした80分。深く傷ついた大曲への再挑戦でもあったからです。

この傷がなかったら、おそらくアレクサンダー・テクニークを学んでいなかっただろうし、今レッスンの仕事をしていることもなかったかもしれない…と思うほどの大きな転機となる出来事でした。

2004年に本番での大きな挫折を経験した後、この曲を聴くことさえも避けて完全に封印…。15年後の2019年、ようやくコンサートホールでマーラー6番の生演奏を聴く決心をしたことを覚えています。

そして、客席でいろんな感情が一気に溢れて涙しました。演奏そのものもすばらしいものだったおかげで、この曲が本当にすきだったこと、曲に魅了されながら毎日練習を積み重ねていたことも同時に思い出せました。

そんな経緯もあるこの曲に、今回は恐怖と向き合いながらも、周りのサポートのおかげで踏み出すことができた挑戦でした。

20年前と同じポジション(トランペット1st)に挑戦するかどうか、決断までに実は約6ヶ月悩み続けました。けれど、周りの方々の温かい後押しのおかげで、「もう一度、向き合ってみよう」と思えるようになりました。

この曲に再挑戦することが決まってからの1年間、トランペットの定期レッスン、アレクサンダー・テクニークを使った毎日の実践、メンタルトレーニングなどを取り入れ、コツコツと小さな積み重ねを続けました。

舞台に立った瞬間に起きた変化

そして迎えた本番。
10分前の舞台袖は正直、かなり怖かったです。恐怖感ばかりだったように思います。

でも、いざ舞台に立つと、
「音楽そのもの」に集中できる時間が流れていました。本当に久しぶりに集中できた時間でした。
もしかしたら、はじめての感覚だったかもしれません。

孤独から一体感へ

かつては孤独と絶望を感じた大曲の80分間でした。
周りのオーケストラの音が支えてくれると感じられず(支えと感じられるスキルが育っていなかったことが大きな要因)、孤独と絶望だけを感じたまま終演した80分。

今回は、110名のオーケストラの音に支えてもらいながら、オケの音とともに、「よし、いくぞ」と一歩一歩進んでいける感覚がありました。

1曲84分という超大曲、通常のトランペットの楽譜と比べると2〜3倍あるこの曲の1ページ目の最後は、ちょうど1楽章提示部の繰り返し地点。今回、自分にとっては冒頭が難所の1つで、ストレス度の高いソロからはじまる1楽章提示部を乗り越えられるかがひとつ大きな山でした。

本番の緊張で極限状態ながらも、なんとか提示部1回目を演奏し、1カッコに入ったタイミングでふと涙腺が緩んでしまった瞬間がありました。おそらく、舞台上で感じた感情は自分に対してもポジティブな感情で、ただ純粋にその瞬間の音楽に全力で向かう準備ができているような感覚で、20年前とあまりに違ったからだと思います。

浮かんでくるネガティブな思いに気づいて方向性を切り替えるトレーニングや、ミスの後に一瞬で切り替える練習、こわばった体を切り替えるトレーニング、集中力のトレーニング、俯瞰的な視点をもち、オケ全体の音を聴くトレーニング…舞台上で音楽に集中するために、試行錯誤してきたプロセスはすべて無駄じゃなかったと感じました。そして、すべての実践の土台にはいつもアレクサンダーテクニークがあり、確実に支えとなってくれました。
(余談ですが、隣でアシスタントをしてくれていた師匠も、まったく同じタイミングで涙腺が緩んだと後から教えてくれました。)

客席を見渡した時、恐怖ばかりだったホールの景色が、「よく知っている風景」に感じられました。
年に1,2回コンサートホールでの本番の機会に恵まれるものの、つい数日前にそのホールで本番をしたわけではありません。でも、その時感じたその感覚は、「つい数日前に経験した」「よく知っている感覚」だったのです。この感覚には本当に驚きました。

ちなみにこれは、1年前から少しずつ取り組んだビジュアライゼーショントレーニングの成果だったと確信しています。本番2ヶ月前からは、メンタルトレーニングの専門家 大木美穂先生にビジュアライゼーショントレーニングのやり方を直接教えていただきながら進めることができました。本当に続けてよかった、このトレーニング。こんな感覚の手応えがあるとは…驚きました。

封印を解いた2019年以降、「この曲を」「このホールで」演奏すると考えただけで、体が反応し、心拍や呼吸があがっていました。当然、リハーサルでもいつも体は即座に反応していましたが、倍以上に高ぶった心拍も、数ヶ月間積み重ねたリラクセーショントレーニング(*)で少しずつ整えることができました。
(*)主に取り入れたのは、呼吸法自立訓練法。これも大木美穂先生とアレクサンダー・テクニークの先生方からの教えが本当に役立ちました。そして、毎日の取り組みの基本には、いつもアレクサンダーテクニークがありました。デビ・アダムス先生や嶋村順子先生にスポット的に取り入れていただいたソマティック・エクスペリエンシング®︎のワークもものすごく役立ちました(こちらの体験は、また追い追い書けたらいいなと思います)。

 

小さな積み重ねが支えた本番

演奏後、お客様からいただいたメッセージやお手紙の数々は、あらためてこの1年の歩みを肯定してくれるように感じました。

  • 「あまりの迫力に疲れる間もなく、演奏に引き込まれていったよ」
  • 「今まで聴いたこの楽団の演奏会の中で、1番素晴らしかった!」
  • 「4楽章の金管の響きに感動して涙が出ました」
  • 「今まで自分が聴いた記憶のあるマラ6の中で昨日の演奏会が1番よかった!」
  • 「この間のマーラー、すごく感動しました。めっちゃくちゃよかったです」
  • 「先生の大活躍振り、素敵でした🥹」
  • 「トランペットがオケを越えていくのではなく、オケのみんなとともにあるという、真摯で謙虚な音楽に対する気持ちまで先輩の音から感じられました」

どれもありがたくて、身に余る言葉ばかりです。

本番で力を発揮するということは、「特別な方法」があるわけではないかもしれません。

日々、心と体を少しずつ育てていくこと。
時には不安になったり、立ち止まったりしながらも、小さな手応えを積み重ねていくこと

そして、不安や違和感を感じた時に、その感覚を無視しないこともとても大事だと改めて感じました。1年間の歩みの途中、あごを痛めたことが何度かありましたが、痛みを無視せずに丁寧に向き合ったことで、結果的に新しい奏法へと繋がったし、自分の体の勘違い(ボディマッピングの勘違い)にも気づくことができました。

「自分を信じて演奏する」って、なんて難しいことだろう、と思っていましたし、今でもそう思っています。

でも今回は、こわさを感じた中でも確実に「本番で自分を信じて演奏できた瞬間はあった」と、演奏会を通して大きな手応えを得ることができました。

みなさんへの感謝とこれからの歩み

2025年があけてからの本番直前2ヶ月、正直なことをいうと、心身ともにものすごく神経質になっている期間でした。

リハのたびにうまくいったり、いかなかったり。今は教えている立場でもありながら、これでいいんだろうかと悩んだことも数知れずです。

それでも、試行錯誤を繰り返し、レッスンを受けてくださるたくさんの方々と一緒に進んでこれた1,2月は、本当に大きな意味を持つものでした。

 

⭐️Special Thanks⭐️

アレクサンダー・テクニークの師匠 嶋村順子先生、渡邊愛子先生、バジル・クリッツァー先生、キャシー・マデン先生、デビ・アダムス先生、トランペットの師匠 愛知室内オーケストラ 福岡詩織先生、心理カウンセラー 土屋先生、音楽家のメンタルトレーニング研究実践家 大木美穂先生、人生のメンターM先生、【自分のパフォーマンスを発揮したい人のための集中プログラム】にご参加いただいた19名のみなさん、熱心にレッスンに通ってくださった生徒さんたち、演奏会前後にメッセージをくださったたくさんの方々、そして、一緒に演奏してくれた最高のトランペットセクションのメンバー、オケのメンバー、ずっと支えてくれた家族…ここには書ききれないほどたくさんの方に支えていただきました。

関わってくださったすべての方に、心から感謝です✨

今回の実践と学びを、今後のすべての活動につないでいきたいと思います。

 

新しい学びの場のお知らせ

1〜2ヶ月後に、新しい学びの場【演奏のための探求&実践ラボ(仮称)】をスタートさせます!

ここでは、

  • 自分の感覚を育てながら演奏の幅を広げること
  • 心と体を調和させること
  • 自分自身の力を自然に引き出していくこと

そんなテーマを、みなさんと一緒に探求していけたらと思っています。
アレクサンダー・テクニークをベースにしながら、音楽活動や日常に役にたつことを全部全部!詰め込んでいく場です。

この学びの場の前段となった、【自分のパフォーマンスを発揮するための1ヶ月集中プログラムは、北海道から九州まで全国各地から、学生さん・社会人音楽家・プロの音楽家、講師の先生…といろんな方が参加してくださいました!
人前で実際に演奏をする、リアル実践会も名古屋や関西で開催中です。

また、今回の詳細もあらためてご案内しますので、
もしピンときたら、ぜひご一緒できたら嬉しいです!

最後までお読みくださり、ありがとうございました!

感想、コメント、励みになります🎵

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関連記事:
▼こちらから▼
20年越しの再挑戦 vol.1 〜のぞみと向き合うということ〜
20年越しの再挑戦 vol.2 〜決断と日々の試行錯誤〜
20年越しの再挑戦 vol.3〜本番の舞台で見えた景色〜
20年越しの再挑戦 vol.4〜本番で発揮できた集中力〜

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