もっと響きのある音にするための倍音のお話 vol.1【響きの正体は倍音】

コラム

なかなか響きがある音が出ないなぁ

みんなと音色があわなくて、自分だけ音が浮いちゃう…

倍音のことを知っておくと、こんな悩みの解決の糸口につながります!

さらに金管の人にとっては、他の人たちの10倍くらい良いことが!!!今回の記事と次の記事の2本立てで解説をしていきます。

この記事を読んでわかること
  • 豊かな音作りのために必要な倍音の知識が身につく
  • 他のメンバーと音をあわせるための倍音の仕組みがわかる

ちょうど先日、指導校で解説した内容です。「はじめて知ったー!」という声を何人かから聞きました。

倍音のことを知ると、オケやバンド全体の音の深みがましたり、個人の音が今より響くようになる可能性大です!

倍音のことを知って演奏したときに何度も音がガラリと変わる経験をしました。わくわくしますよー!

響き豊かな音の正体

 響いている音、豊かな音だと人間の耳が感じるのは、倍音が多く含まれている音です。 

例えばドの音を出しているとき、ドの音以外にもたくさんの高さの音が含まれています。それが響きだと感じられるものです。

のちほど、詳しく解説しますね。

現れては消えていく音の正体

時間芸術ともいわれる音楽ですが、音は発したその瞬間に消えていきます。

その瞬間に消えるにも関わらず、音が聴衆に届くのはなぜでしょうか。

音の正体は波

知っている方も多いと思いますが、音の正体は実は波です。音の波が空気を伝わって聴いている人の耳に届くことで、人は音として認識することができます。

ところで440Hzってなんだっけ…?

440Hzとか442Hzってチューナーに書いてあるよね。
なじみはあるけど、説明できるほどわかっていないかも

Hzとは周波数のことです。例えば、440Hzは1秒間に440回の音の波が生まれているということです。

1秒間の波の数が多いほど音が高くなり、波の数が少ないほど音が低くなります。

👆 高い音の方が波が多い
👆 低い音の方が波が少ない

2人であわせたときに音がにごる理由のひとつ

例えばAさんが440Hzの高さの音を出したとします。

一方で、Bさんが442Hzの高さの音を出したとします。

2人が同時に音を出すと、周波数のズレの分だけ音がうなるのです。

この例だと442−440=2Hzのズレがあるため、1秒間に2回わんわんと音がうねります。 この音のうねりは、人間の耳にはにごりだと感じやすいものです。 

では、このにごりが透き通るためにはどうしたらいいか考えていきます。

2つの音が透き通るための条件

例えばさっきのAさんとBさんが2人とも440Hzの音を吹くと、波の数(1秒間にうなる回数)があっているので透き通った音に聴こえます。

少し難しい言い方になりますが、2音の波の数の比率がシンプルであればあるほど、その音は透き通ってあっているように聴こえます。

もう少しわかりやすい例でいうとこんな感じです。

Aさん:Bさん → 440Hzで吹く:440Hzで吹く

440Hz:440Hz = 1:1

1:1という整数比が1番シンプルですね

オクターブあがると波の数が倍になる

Aさんが440Hzの音を吹き、Bさんがオクターブ上の音を吹くとします。

オクターブ上の波の数はどうなるかというと倍になるのです。ですので、Bさんは880Hzの高さの音を出していることになります。

Aさん:Bさん → 440Hzで吹く:880Hzで吹く

440Hz:880Hz = 1:2

1:2という整数比もすごくシンプル!
1オクターブ上の音は波の数が倍になるんですね。
逆に1オクターブ下に下がると波の数は半分になります。

楽器の音色を決めているのは波形

ここまでは音の正体と音の高さの解説をしてきました。ここからは音色の話をしていきます。

音色を決定するものはなんでしょうか。

ざっくりいうと、波形が違うとそれが音色の違いとして人間の耳に認識されるようです。

音の波形が音色を決める【楽器ごとに波の表情があります】

雑な図になってしまいましたが、こんな感じで波形の違いがあるようです。

トランペットの音の波形
クラリネットの音の波形

ブサイクな波の形ですが、手書きなのでお許しください…!

ざっくり、楽器ごとに波の形や表情が違うんだなぁと理解してもらえればOKです。

音色が似ているというのは、波の形が似ているっていうようなイメージですね。

倍音の仕組みを一気に理解しよう

いよいよ倍音についての解説をしていきます。

倍音を並べたものを倍音列といいます。倍音列は、ある音を基準として波の数が整数倍になったものを並べたもののことをいいます。

響きを豊富に感じる音は、1本の音でもハモっているように聞こえる!【かなり重要】

さて、ここでいよいよ響きの話です。

ある人が100Hzの音を吹くとします。

上記の例を見てほしいのですが、100Hzの音を吹いた時に、誰も吹いていないにも関わらず2倍の波の200Hz、3倍の波の300Hz 、(以下続く…)の音が勝手に鳴ります。

 これはものすごいことです!! 

ひとつの音しか吹いていないのに、ひとりでハモっているような感じ!これはすごいことです!

この実際の音以外が響きとして感じられるということです。

そして、今からお伝えすることは決まり事なのでちらっと覚えておいてほしいのですが、基準の音を「第1倍音」といい、その2倍、3倍、4倍…の波の音をそれぞれ第2倍音、第3倍音、第4倍音…といいます。

まとめ【響きと倍音は深く関係がある】

この記事ではこんなことについて解説をしました。

  • 人間の耳に響きだと感じられるものは、倍音を多く含んだ音であること
  • 倍音とは、実際の音以外の高さの異なる音のこと
  • 倍音が多く含まれていると、ひとりでハモっているような豊かな音がすること

次回も引き続き倍音の話をしていきますが、次は金管の仕組みと倍音の関係についてです。

音を外しやすくて悩んでるよ(私です…)という人のために、 今よりコントロールしてパシッと音が当てられるようになるための道すじも詳しく解説していきます。 

私はこの道すじを丁寧に実践していったことで、ここ数年なかなか進めなかった音をあてるという感覚がスーっと進み始めています。

それではまた!

もっと響きのある音にするための倍音のお話 vol.2【金管楽器の仕組みと前向きに上達するための道すじ】