目次
管楽器奏者のための呼吸法
ブレス徹底解説第4弾「息を吐くときに起きる動き」を徹底解説!
息を吐くことは、管楽器奏者にとって最重要事項のひとつです。
これだけで 楽器の音ががらっと変化する可能性を秘めています。
この記事を読むとこんなことわかります
- 「お腹を使う」の「お腹」ってどこのこと?
- お腹を使って息を吐くの本当の意味
- 呼吸がしづらくなる原因とは?
記事の内容を実践いただくと、今よりもっと息を吐くことができた!と実感できるかもしれません。
管楽器奏者にとって最重要ポイントでもある呼吸についてシリーズで掲載しています!
ブレス徹底解説第4弾は「息を吐くときに起きる動き」について解説していきます。ぜひ記事を読みつつ、試していってくださいね。
以前の記事はこちらから
呼吸解説シリーズ
第1弾: 管楽器のためのブレス徹底解説①導入編【呼吸プチクイズ4選】
第2弾: 管楽器のためのブレス徹底解説②準備編【息を吸う体の仕組みをひも解く】
第3弾: 管楽器のためのブレス徹底解説③知識編【息を吸う時に起きる動き】
「息を吐く」にはお腹を使おう
力強く息を吐きたい!
長く息を吐きたい!
そんな時、どのような身体の使い方をすれば良いでしょうか?
結論からいうと、パワフルに息を吐くには「お腹」を使います。
管楽器演奏においては、とてもパワフルに吐くことが必要となります。
そんな時に使うのがお腹の力です。楽器を演奏するときに、お腹を使おう!というのはよく聞く話ですよね。
実は 息を吐く 時に お腹を使う ということが大きなポイントとなります。
あれ? 息を吸う 時は お腹は使わないの? と思った方もいるかもしれません。
「お腹を使う」とは一体どういうことなんだろう
- お腹をぎゅっと固くすること?
- お腹を凹ませること?
- お腹を外側に出す力を加えること?
- そもそも、「お腹」とはどこのことをさしているのか?
いろんな疑問が湧いてきますね。
「お腹を使う」という言葉で起きやすい誤解
「お腹を使う」という言葉には、さまざまなニュアンスを含んでいることがわかるかと思います。
ですので、「お腹を使う」という共通の言葉で指導したり、会話したりしていても、実はすれ違っていた、なんていうことが起こりやすいのも事実です。
そのため、「お腹を使う」ことで一部の人はうまくいくけれど、あまりうまくいかない人もいるという現象が起きやすいことが起きやすいのです。
それは、「お腹を使う」ことと、「息を吐く」ことが結びついていない場合に特に起きるのでは?と推測しています。
息を吐くため にお腹を上手に使うことで、豊かな息が使えるようになるんですね。
お腹を使う(=息を吐く)とはどういうことか、実際の身体の仕組みと使い方から解説をしていきます。
今までの呼吸の誤解が解けるかもしれません!
お腹の構造を知って使いこなそう
“お腹を使う”を言い換えると”腹筋を使う”ということ
講座やレッスンで「腹筋ってどこでしょうねー」と皆さんに尋ねると、ほとんどの方がみぞおちを指します。
俗にいうシックスパック、割れるとかっこいいところですかね。
もちろんそこも腹筋のひとつです!そして、実はその周りにもたくさん息を吐くための腹筋が存在しています。
みぞおち周りだけでなく、もっと使える部分がたくさんあるので、これは使わないともったいない!!
知っているか知らないかで、息を吐く量やパワーが全く変わっていきます。
息を自在に吐くために腹筋のことを知る
息を吐くときの主役となる腹筋たち(腹筋群)がどうなっているのかを図解していきます。
これは呼吸に関するボディ・マッピングのひとつです。
まずは「へー」「そうなんだ〜」と知っていくだけで大丈夫です。
実は腹筋は外側から4層構造になっています。
4枚におろしていきます。笑
*左半身のみ、水色で図示してあります。
【1枚目】外腹斜筋
一番外側にある大きな筋肉です。
【2枚目 中央寄り】腹直筋
これが俗にいうシックスパックのことです。シックスパックというものの実はエイトパックですかね。
【3枚目 横側、背中側】内腹斜筋
腹斜筋という名前の通り、斜めに筋繊維が走っています。
【4枚目】腹横筋
肋骨から骨盤までぐるりと囲っているのがわかるでしょうか。
背中側まで囲っています。
<正面から>
<横から>
深層筋(=インナーマッスル)と言われる部分で、強く息を吐く動きにおいてとても重要な役割を果たします。
くしゃみや咳をするときに横っ腹と言われる部分にふれてみてください(くしゃみの瞬間に余裕があればぜひやってみてください、笑)
息を吐くときにこの筋肉がたくさん働いているのが感じられると思います。
実はこれだけ広範囲に息を吐くための筋肉が存在しているんですね。
特に、お腹の横側・背中側(腹横筋)、斜め下側(腹斜筋)のあたりを意識して使うようになると 一気に音が変化する可能性大 です。
レッスンでもこのあたりを使うことを促してみてうまくいく方は多いなぁと感じます。
腹筋を”使う”の本当の意味
冒頭でこんなことを書きました。
お腹を使うとは…?
- お腹をぎゅっと固くすること?
- お腹を凹ませること?
- お腹を外側に出す力を加えること?
お腹を使うというのは言い換えると”腹筋を使うこと”という話をしてきましたね。
筋肉を使うということは筋肉が収縮するということです。
腹筋が収縮すると、2のお腹を凹ませる動きが起こります。お腹といっているのは図解した広範囲の腹筋たちです。
なので脇腹のあたりや背中の方まで胴体を凹ませる動きができます。
息を吐く実験 2選
パターン1:
- 息をふーーーっと長く吐いてみます。
- その時はゆっくりお腹や脇腹、背中側が凹んでいくのが感じられると思います。
パターン2:
- 息を強く短くフッフッフッと吐いてみます。
- お腹の動きが感じられると思います。
使える息の量がぐっと変化するのが感じられると思います。
息を吸う時 息を吐く時の動きのまとめ
管楽器を演奏するときに、体で起こっていることを改めて整理して見ていきます。
文字だと難しいかもしれませんが、ひとつずつ読んで自分の体で起こる現象をイメージしてみてください。
*注意:複合的にこれらの動きが起こっていると考えていますので、数字は動作が起こる順番ではありません。
【息を吸う時】
*前回までの記事の振り返り
- 肋骨がひろがることで胸郭がひろがる
- ドーム状の横隔膜が下がる
- ❶と❷によって、胸郭内の圧力がさがることで肺がふくらむ
- 横隔膜の下にある内臓は、下に押されていき、骨盤の中へとおさまる
- 骨盤の中におさまりきれなかった内臓は行き場を失って、お腹の前面が膨らんだようになる
【息を吐く時】
- 腹筋たちを使って胴体を圧縮して、内臓が元の位置に戻ろうとする
- ❶が起きるために? … 骨盤の下(骨盤底筋群)から上に内臓を押し上げる力が働き、骨盤におさまった内臓を元の位置に戻そうとする
- ❶が起きるために? … 腹筋たちで胴体をしぼっていく
- 吸う時に使っていた横隔膜は元に戻っていく
- 吸う時にひろがった肋骨はたたむような動きになり、胸郭がしぼむことで、肺から口を経由して息が出ていく
終わりに
今回は息を吐く時の動きについて解説をしました。
今よりもっと自由に演奏できるようになりたい!と思っている人はぜひこの記事内容を試してみてください。
記事の内容について、わからなかったところがあればお気軽にお問い合わせください。感想などもいただけたらうれしいです♪
管楽器の要はなんといっても呼吸。呼吸が変われば音が変わります。